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■ 奄美に雪が降った日  3/5  →後編へ

--どうりで寒かったわけだ。雪が降るんだから。今日は朝から知人を連れて奄美をあちこち案内してまわった。あいにくの天気に加えとても寒く、湯湾岳の林道を走っている時には雨の中にチラッと雪らしきものも見えた気がした。丸一日の案内を終えた後、「もしかしたら」と再び湯湾岳へ。途中で降り出したアラレに気持ちは焦り、急げ!急げ!と高みを目指す。宇検側の湯湾岳展望台に着くと、目の前を白いカーテンがおおった。地面に当たっても跳ねない様子に「もしかして雪かな」と思いつつも確信は持てない。希望が確信へと変わったのは、宇検側から大和側へと林道を移動している時だった。空から落ちてくる白い粒は光をよく反射して輝くので「これは間違い無く雨ではない」と確信。そして車のフロントガラスの向こうで放射状に広がりながら落ちてくる軌跡を眺めながら、広島で運転しながら雪を見た時の記憶がよみがえってきた。そうだ、あの時も確かこんな風に白い粒が落ちてきて、そして急に音がしなくなったんだ。車に当たった時にコツコツと音をたてるアラレと違い、雪は全く音をたてない。まるで無声映画を見てるように白い粒が音もなく落ちてくる。奄美に降る雪だから、もったいない感じで少しずつ降るのか?と思いきや、今日のそれは想像以上だった。惜しげもなくドワ−ッと落ちてくる雪を全身で受けながら、「ああ、やっぱり雪だ」と実感に満ちあふれた。大和側の登山口へと移動する間ずっと、フロントガラスに上映される雪のショーを眺めながらのドライブとなった。見たくてたまらなかった奄美に降る雪。たったひと粒でもいいからと夜中に何度気まぐれで湯湾岳へ通ったことだろう。やっとやっとやっと会えた。しかもこんなにもたくさん。感慨あふれ、そりゃあ涙もにじんださ。

>>降雪記念「奄美に舞い降りる雪」ポストカード


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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